ゲームと人工知能という組み合わせは、最近になって突然現れたものではありません。敵が向かってくる、味方が援護してくれるといった動きは、ずっと以前から人工知能と呼ばれてきました。ただ、そこで使われていたのは、あらかじめ書かれた手順に従って動く仕組みです。近年話題になっているのは、大量の事例から学び取った仕組みであり、これがゲームの作り方と遊び方の両方を変えつつあります。
これまでの仕組みと学習型のちがい
従来の仕組みは、作り手が想定した範囲の中でしか動けません。敵が近づいたら隠れる、体力が減ったら逃げる、といった条件を一つずつ書いていく方式です。丁寧に作り込めば自然に見えますが、想定していない状況に置かれると不自然な動きになります。学習型の仕組みは、あらかじめすべてを書かなくても、状況に応じた振る舞いを選べる点が異なります。作り手が思いつかなかった手を打ってくることもあり、そこが面白さにも難しさにもつながっています。
登場人物と世界の作られ方
最も分かりやすい変化は、登場人物との会話でしょう。これまでは、用意された選択肢の中から選ぶ形が主流でした。学習型の仕組みを使えば、こちらが自由に打ち込んだ言葉に応じて返事を組み立てられます。同じ人物と話しても毎回同じ台詞にはならず、世界に厚みが生まれます。ただし、話が脱線したり、物語の設定と食い違う発言をしたりする危うさもあり、どこまで自由にするかは作り手の悩みどころです。
地形や任務を自動で作り出す使い方も広がっています。同じ地図を何度も歩く単調さを避けられ、遊ぶたびに違う景色に出会えます。手法自体は以前からありますが、学習型の仕組みと組み合わせることで、ただ雑多に並べるのではなく、遊びやすさを考えた配置がしやすくなりました。
対戦相手として、そして作る側の道具として
対戦相手としての役割にも触れておきましょう。碁や将棋の世界では、人が及ばない強さを持つ仕組みがすでに定着し、今では人の側がそこから学ぶ道具として使われています。同じことが他の分野でも起きつつあり、自分の腕前にちょうど見合う相手を用意したり、負けた場面を振り返ってどこが分かれ目だったかを示したりする使い方が広がっています。強すぎる相手は練習になりませんから、あえて手加減の具合を調整する技術のほうが、実は難しいと言われています。PlayBazeのような場所でも、遊ぶ人の腕前や好みに合わせて見せ方を変える工夫が取り入れられており、同じ考え方が幅広く応用されつつあります。
運営する側での使い道もあります。多くの人が同時に遊ぶ作品では、規則を破る行為や、道具を使って有利にふるまう行為への対策が欠かせません。膨大な記録の中から不自然な動きを見つけ出す作業は、人の目では追いきれないため、学習型の仕組みが力を発揮します。同じ技術は、言葉の行き違いや嫌がらせを早めに見つける役にも使われています。ただし判断を誤って無関係の人を巻き込む恐れもあるため、最後は人が確かめる仕組みを残しておくことが欠かせません。
作る側の現場も変わりました。台詞の音声を役者の声をもとに作り出す、多くの言語への置き換えを下書きまで進める、不具合を見つける試験を自動で繰り返す、背景の下絵を大量に用意する。こうした工程で時間が節約され、小さな会社でも大きな作品に挑めるようになりつつあります。一方で、学習に使った作品の権利をどう扱うか、声や絵を担ってきた人の仕事をどう守るかという議論も続いており、これは技術だけでは解決しない問題であり、業界全体で取り決めを整えていく段階にあります。手が空いた分をどこに振り向けるかで、作品の質は大きく変わってくるはずです。
遊ぶ側から見ると、体験が一人ひとりに合わせて変わっていく点が最も大きな変化かもしれません。腕前に応じて難しさを静かに調整する、好みに合いそうな内容を先に見せる、といった工夫はすでに実用化されています。便利である一方、自分の好みに合うものばかりが差し出される窮屈さもあるため、ときには勧められていない作品にも手を伸ばしてみると、思わぬ出会いがあるはずです。








